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モノは買わない「体験経験を買う」

若かりし27歳の時1983年日本男児フンドシをモチーフにしたイベントを大阪アメリカ村の発祥のきっかけとなったパームスというカフェレストランで真冬の2月に数人の仲間と開催しました。

その意図する所、時は大量生産大量消費、消費は美徳とされた80年代。

人は色んな飾りモノをもって自分を着飾り暮らしていますが、「それらの装飾を脱ぎ捨てた時の本来の自分の価値はいかなるものですか?」と言う問題定義を意図したイベントでした。

その全てのモノをまとわず脱ぎ捨てた状況にあって自分に宿る肉体と知能・精神こそが本来の自分の価値ではないでしょうか、その美しさこそが人生をかけるべき最終目標に成るというメッセージを送りたかったのです。

マズローの5段階欲求でいうならより高い次元とされる承認や自己実現の欲求を宿している自分たちの内面を表現してみたかったのだと思います。

その時のマインドは今も面々と仕事の中で自分の価値基準の中心軸にあります。

着飾る事を否定するものでもなく消費材を提供する自分たちの仕事を否定する訳ではありませんが、それはモノや情報の消費に対する疑問を投げかけ最終的に人間の し・あ・わ・せ はどこに向かう、幸せの価値基準は人それぞれのものですが自分達が考えるその基準は確かなものを持ちたい、そのような視点を投げかける自分たちなりの自己表現の機会でした。

その時の自分たちの中に現代の環境破壊、資本主義の行き着く所、ITによる技術革新というファクターによって起こりうる逆境を予見していた訳ではありませんが、人の欲求という視点においては直感的にこれから先モノの重要性は低くなると感じていたのは事実です。

そして行き過ぎた投機マネーゲームによって日本バブルは崩壊、1990年以降、消費はモノから事へと呼ばれて久しいわけですが、最近ではモノを必要最小限しか持たない暮らしを志向するミレニアム世代が話題となり彼らをミニマリストと表現しています。

持続的な社会、環境を優先しモノは最低必要なだけ所有し一時なら人から借りてシェアーすればちゃんと立派に豊かな生活が出来る。

消費の対象は自分を磨き上げる為、自分を表現するための例えば旅の体験やヨガの経験、アート&カルチャーなどに向かうわけですが、それは消費という感覚ではなく自分への投資と言った感覚に変わりつつあると言う事を認識しておきたいと思います。

ミニマリストを志向する世代も自分も含め自己の存在理由、自分らしさというものを確かなものにしていきたいという欲求がこの逆境の時代の中でより強くなり現れはじめている、僕はそのように今を感じます。

そして消費の向かう所、モノから体験に消費から投資に。それがこれからの僕たちの社会貢献のキーワードになるものと考えています。

2020-01-10 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす