この言葉は人生のお師匠様から教わった僕にとって心に留め置いている教訓の一つです。

ここで言うバカとは中途半端に間の抜けた事をしでかし他人に迷惑をかけてしまうようなバカの事ではありません。

養老孟司さんの 著書“バカの壁”が一昔前に流行った事がある。みんなそれぞれの人生の成功体験の中で自分を守る壁(潜在意識)を作り込んでいてその壁の内側でしかモノを見る事が出来ない。

しかもその壁は今まで人生で刷り込まれた考え方に基づく一元論的な思い込みによって出来上がってしまっている。

一方でその壁は自分の可能性を閉ざす壁となり、他方では自分は正しく他者は愚かである的唯我独尊の城壁ともなる。

ここで言うバカとは皆様ご存知の山下清画伯のようなバカの事です。すべてが見えるという意味はどうすれば得をしどうすれば損をするかという事が見えるという事では全くありません。

バカだから見える事それはそれとは真逆、何が人間として正しくて何が間違っているか何が美しい事で何が醜い事かという事モノの本質が見えてくるという事なのです。

世の中を見ていると間違った事をして得する人、正しい事をして損をする人をどうしても見てしまいがちです。

そんな意識化においては賢さを志向する頭脳はどうすれば得し、どうすれば損をするかを無意識に計算し行動するのが自分たちのあたりまえの日常です。

でもバカになればそんな計算はできません。だからもっと大切な事モノの本質が見えてくるという事なのです。

そのでっかい頭を捨ててごらんなさい、全てが見えてきますよって、そして正しい判断を行えるようになるのです、そう自分に言い聞かせるように心がけています。

でもなかなかバカにはなれないのがこれまた人間。でも謙虚に少しでもそんな心がけが持てていれば自分の人生をさらに美しくデザインできるようになるのでは。

色不異空空不異色色即是空空即是色…修行修行…

2017-09-01 ©Ichiro Haba