デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 19

「本物のブランディング」

ブランドは品質の保証であり信頼の証しだとよく言われます。それはお客様との関係性の中で長い年月の間に培われた信頼と共感関係の絆であります。

ブランド力を測る秤を持ったなら、それはどのような尺度でその力を測るべきなのでしょうか?

単純には市場で認知度の高い世間でよく名の通った名前は力のあるブランドと言えます。知名度が高ければ高いほど信頼性も高まりイメージも高く市場で好印象を形成しています。

逆説的に言えば他の製品に較べそのパフォーマンスがそんなにも優れているとは思えないモノも知名度が高ければ優れたモノに見えてしまうわけです。いわゆるブランドモノであると思われているという事です。高い投資を行いメディアを駆使しTVコマーシャルやらに打って出る事で市場の認知度を一挙に高めてブランドとして仕立て上げる事も出来る訳です。

以前のブログにCPバランスという製品評価軸の視点を紹介させていただきました。実際使ってみるまでは、知名度がブランドの選択基準として真っ先に挙げられますが、実際購入して使い始めた時からの体験によって似非ものであればその化けの皮がはがれブランド価値は低下していきます。その体験的評価がブランドイメージを形成していきます。ブランドとしての評価軸もそのブランドが継続をして市場に残っているという物差しが真実そのブランドの力、パフォーマンスを見極める秤であると思います。

近年のネットのレビュー評価は製品のパフォーマンスを示してくれていますがブランド力を測れるものではありません。ブランドとはそれらの製品やサービスを生んでいる人たちの思いであり美意識であり哲学である、その文化の共感者の方々の間で形成される価値こそブランディングであると私は思っています。でもその長い年月の間で培われた価値も失うときは一瞬であります。

クルマや食品、レストランや旅行代理店、近年よく世間を騒がせている企業の嘘ごまかしの不祥事による企業倒産、経営者の破滅。理念や哲学の無いブランド、一瞬はブランドとして知られわたる事があっても長くは続かない。

そんな社会の歴史から本物のブランディングのあるべき事を私たちは学ばなくてはなりません。

2018-01-12 ©Ichiro Haba
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