デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 24

「半歩前を進む事のリスク」

「IACK & MARIE」というお店がこの3月16日に横浜ベイクォーターにオープンするそうです。クルマ用品専門店のチェーン店オートバックスのクルマを通じたライフスタイル提案新ブランドのお店誕生です。

今までのオートバックスでは考えられないようなアウトドア用品に特化した品揃えコンセプトのお店です。それはとてもクルマ用品店とは思わせないアパレルブティックのような店づくりでZOZOタウンへの出店の後リアル店舗として横浜に誕生します。ZOZOから出店スタート、ネット販売の受け皿を作った後にリアル店舗というアプローチは今的でリスクが少なくて良いとは思いますが、見方によってはオートバックスもいよいよ半歩先の業態に進化する為にライフスタイルグッズにまで手を伸ばさなくてはならない状況になってきたのかと思ったりもします。

なぜ経営者はこのような中途半端とも思える半歩先コンセプトの出店計画にゴーサインを出されたのでしょうか。

その昔は半歩先をいく事が事業を成長させる王道と考えられたものですが、逆に今ではそれが将来を危うくする無意味な投資となります。クルマと通じると言っても特殊なアルピニスト用の山岳用品は別にして、アウトドア用品グッズはそのほとんどが昔からクルマでのトランスポーテーションありきで開発され設計され販売もされてきました。そうした用品を販売するお店、アウトドア専門店 好日山荘・モンベルに加えてスポデポやホームセンター、安売りのネットショップそのような競合がひしめく中、はたしてアウトドアグッズ、ライフスタイル商材の販売での勝ち目は後発のオートバックスには全く無いように思います。また用品からオリジナル開発を進めてみたところでアウトドアを趣味とする人材が揃うアウトドア用品メーカーに文化レベルで勝ち目もありません。僕ならビンテージカーの修理用品や修理をする為のメカニックスペースを貸し出したりビンテージパーツ交換のワークショップを行ったり、そんな店づくりを志向します。

オートバックスはオイル交換とタイヤ交換で消費者に貢献してきたガレージなのだから油のニオイのするガレージから発想を原点にスタートしないと・・・文化レベルで他の業態に勝てる道は生まれない、そう思います。

クルマに乗る若い人も減る一方でEVの販売拡大でオイル交換の売上も将来減少していく。もう既に数年も前から若者のクルマ離れによってオートバックスの売上減少化が始まっているでしょうし、さぁこれからクルマ用品販売の巨人オートバックスはどんな革新策を打ち出してこられるのか興味津々・・・です。

2018-02-02 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす