デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 36

「ベンチマークで開発する」

ベンチマークな開発、それは先人に学ぶという手っ取り早い商品開発の手法です。販売ネットワークが強みであったパナソニック、松下電器工業はベンチマークで一人勝ち、同業他社からやっかまれ、まねした電機工業さんと中傷されておられた時代がありましたが、別の視点でみれば企画開発室に製品スペックのベンチマーキングに優れた人材がいらっしゃったのでしょう。

ベンチマークな開発を話の例として物語的に書いてみます。

ある生活用品を開発している中小企業があります。その会社の業績はここ2、3年あまり芳しくありません。その会社で新製品の開発を担当する部署の物語です。社長が従業員のみんなに発破をかけます。「君たちは最近なかなか売れる製品を開発できていない、それはどうしてなんだ?自分たちとよく似た事業会社の優れた所からもっと学ぶようにして我が社でも売れる製品どんどん開発してほしい、それが出来ないときは君たちの誰かに退職を迫らざるをえないことになる」そのように発破をかけられて新製品開発のスタッフは売れるものを探そうと必死にネットサーフィン、自分たちの製品を販売している売場へ出向いてマーケットリサーチの行動に出ます、そしてネット上でも確認し一番売れているとされているものを10アイテムチョイスしました。そしてそれらを購入しベンチマークという手法で商品性の評価を行います。もちろんレビューチェックも行いそれらの製品の購入者のフィードバックからのそれら製品の優れた点、至らない点を拾い出し情報データ化します。製品評価をベンチマークという手法を用いて比較対象的に開発目標を設定する製品開発のアクティビティです。

ベンチマークの観察ポイントは製品によって様々ですが一般的に

・製品ベンチマーク
価格/使い勝手/製品スペック/製品外観デザイン/カラー展開
安全性/耐久性/薬品耐候/知財関連/サスティナビリティ/生産地

・売り方ベンチマーク
ネーミング/パッケージデザイン/キャッチコピー/ブランド

それらの評価を行い、それらを超えうる製品開発の指標を設定します。

ただしこのベンチマーク作業からは、クリエイティブやイノベーションな発想が生まれてくる事はありません。    ・・・次回につづく

2018-03-30 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす