デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 37

「ベンチマークな開発の行く末」

ベンチマークな開発はわかりやすく例えるなら、柳の下のドジョウを狙うということです。

確かにそこにドジョウが群れをなしているような市場があれば後発参入でもおこぼれを頂戴できる事があるのかもしれません。

逆に販売力のあるサプライヤーなら兆しとなるものをベンチマークする事で後発であっても棚網を掛けるかのごとく一気に販売力で市場シェアーを獲得する事も出来ます。

多くのベンチマークな開発はこのように販売力の強い会社で資金力もある企業にとって有利な戦略です。と考えると前章の物語の中小企業オーナーの他社製品のベンチマークをして新製品を開発し業績の好転に望んでくださいという開発チームへの指示はマーケティング上謝った経営判断であると考えられます。

その手法で販売力資金力の小さな中小企業が戦いに出てしまうと必ず競争に負け、思うような業績を残せないまま会社をたたまざるを得ない、そうなる可能性が高いです。

ただ日本の中小企業であっても後進国に拠点を展開し他社よりも安く作れる、スピードを持って調達できるなどの力に優れた企業もあります。そのような企業はリステージ戦略(モノマネ戦略)に特化し徹底的に進めていく事で競合他社に優位な展開を得る事も可能です。

一方イノベーティブな企業は常に新しいコンセプトを創造し商品を世に出すのですが、このようなリステージ戦略を得意とするメーカーに価格とスピードで下をくぐられ散々な目に遭わされてしまいます。そこでその競争に勝つ為には知財を自分たちの武器とし、手の切れるような品質とセンスでブランド力を高めていくことで消費者の方々との共感軸を創り出し、その存在を確かなものにしていく道があります。

また次回からはブランドマネージメントについて触れていきたいと思います。

2018-04-03 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす