デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 51

「売場から発想する」

”作り手の方と売り手の方を繋ぐのがマーケティングプロデューサーの仕事”という風に言われるのをよく耳にされる事と思います。

作り手の方々は、一生懸命生産技術の革新や製造機械への投資に熱を傾けられます。この何千万の機械に投資すればその機械が仕事をしてくれて売上を増やす事が出来る。経営的にも償却によって利益を圧縮し節税もできる償却後はその機械が動けば動くほどに利益が積み上げられていく、いよいよ仕事が無くなればその機械を販売してお金に換えれば良い、それもそうですが、それは右肩上がりの時代のお話でこれからの時代、国内のマーケットはどんどん収縮していきます。

そこで必要となるのがどのようなものが世の中で必要とされ社会に貢献できるのかそこで新しい革新価値を生み出していけるのかという売場からの発想です。作り手の方々は作ることが生業ですからある特定のものの生産を深堀する事で技術を高め利益を生み出す事にフォーカスされた業種です。

ところが製造物ではない最終製品がひしめく売場マーケットという大海原を見てみてください、とは言ってもその海に出かける舟も無くそのすべすらご存じない訳ですからそれは困難。そしてその大海原でどのような漁が出来るのか、そこが見えていなければ当然どのような道具を持って漁に望めば良いかの見当もつきませんが、この道具なら釣れるはずだと勝手な思い込みで作る。作る事がお得意なものですからあっさりと作られてしまいます。そしてその大海原はまた生き物です、昨日まで釣れていた道具も今日では使い物にならないものになります。諸行無常の世界です。パーツ製造業のようなサイクルで売場は動いてはくれません。ライフサイクルが全く違います。

僕たちデザイナーは基本売場から発想できなければ成功はありえません。棚網型か一本吊り型かは別にして常にその漁場の変化に着目しています。その漁場をしっかり捉え自分たちの技術がどのように役立つことが出来るのかそのビジョンを示す売場からの発想が新製品開発には不可欠なのです。

2018-06-05 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす