デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 55

「未来をデザインするコンセプト3」

さぁ未来をデザインする事を考える上で最も大切な事は、将来世代がよりよく豊かに暮らせるようにサスティナブルな社会、暮らし方をデザインで実現するという事になります。

そこにおける考え方の最も大切な視点は、命をつなぐという事に他なりません。

私たちは地球上の全ての生命が危機にさらされつつあるといった実感は全く有りませんが、絶滅危惧種のレッドリストはどんどん増え続け、何十年か後の将来世代にはもうどうしようもない生命の危機的状況をもたらす原因を、今の私たちが楽しく生きる事の為に作り出してしまっています。

トヨタ自動車の社長、豊田章一郎さんがカンテンパパのブランドで有名な伊那食品工業を数年前企業訪問されたそうです。何故世界企業のトヨタ自動車の最高経営責任者の章一郎さんが岐阜県の田舎町に在る小さな企業に足を運ばれ見聞をされたのでしょうか?

それは創業者である塚越實さんの事業理念・カンテンパパの事業モデルを観察しこれから50年後のトヨタ自動車の事業モデルの題材とさせてもらおう学ぼうとやって来られました。

創業者の塚越實さんは会社の有るべき姿をずうっと探して来られ、その結果、「永続」こそ企業の価値であり、成長や利益は永続のための手段に過ぎないという考えに至られた。社員一人ひとりのハピネス(幸)の総和こそ、企業価値であると確信するとおっしゃられ、事業所内の敷地には社員さんによる植樹が行われそれも事業活動の一環であると言う。

二宮尊徳の言葉を会社のフィロソフィーとして紹介されておられます。

遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す。

それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。

まして春まきて秋実る物においてをや。

故に富有なり。

近くをはかる物は 春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず

唯眼前の利に迷うてまかずして取り

植えずして刈り取る事のみ眼につく。 故に貧窮す。

末広がりの成長を実現する為には急激な成長を抑えなくてはなりません。
塚越さんの年輪経営のコンセプトは未来をデザインする大切な軸であります。

2018-06-22 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす