デザインマネジメント講座

デザインマネジメント講座 58

「未来をデザインするコンセプト 6」

住まい方の未来を考える・・他に人がいない自分だけの暮らしが拡がる

住まい方という言葉の響きから何を想像しますか?

住居という空間が思い描かれ、そこでの暮らしの道具や周辺の環境ロケーションそして共に暮らす家族の姿が思い浮かぶことと思います。

住まいはスマートハウスと呼ばれる存在が標準となりIoT化された通信とセンシング技術搭載の生活道具ですべてがネットワーク化される。そうして集められたビッグデータによって自分たちそれぞれの行動が先読みされあらゆるリコメンデーションがあらゆる機会を通じて私たちに降り注がれる。朝起きる時間を先読みされてカーテンが開く、毎朝見るテレビは決まっていつもの番組がターンオン。今日はプラゴミ出し日である事をスマートスピーカーやディスプレイがお知らせをしてくれる。お出かけ時には仕事に出かけるご主人を景気づけるお気に入りの音楽が流れる。ガレージに向かえば既にクルマのエンジンはオンされ乗り込めば自動で仕事場までご主人をトランスポートしてくれる。

さぁこんな住まい方が私たちの当たり前になってしまうのだろうか???

望むと望まざるに関わらずこのような住まい方が普遍的なカタチとなって自分たちの生活にもたらされる。ありがたいと思えば本当にありがたい事でもありますが、こうなれば家族なんて必要なくなるのではないかという懸念が拡がってくる。専業主婦がいる家庭が少なくなり、頑張るお父さんもいなくなり結婚に夢を持たない人が増える。そのような情景から拡がる私たちの未来の住まい方にもはや人間家族を想像する事さえ少なくなっていくのではないかと思う。人に変わって私たちと人造機械の関わりが増え、人との関わりが希薄になっていくのである。そんな中で家族が消滅する、そんな未来を予感する。

こんなレポートをさせていただくのも私なりの時代への問題提議であり警鐘であります。そのような問題を超えていける未来をより良くどのように作り出していけるのか日常の仕事を通じて関わっていきたいと願っています。

2018-07-03 ©Ichiro Haba
シンプルに美しく暮らす